こんにちは!kaede代表の松本です。
産前産後に『骨盤が歪む』『骨盤が開く』という情報を耳にしたことがある方は多いと思います。
自然分娩ではなく帝王切開を選択するお母さんが増えたのも、この情報によって不安を感じてしまったことが原因の一つではないかと思っています。
実際には、骨盤(骨)そのものが変形したりするわけではなく、『骨盤を構成する骨同士の位置関係が変化する』という表現が正しいです。
骨同士の位置関係が変化した結果、『骨盤が開いたようにみえる状態』になります。
骨が変形しているわけではないので、筋肉や関節を調整することにより正しい位置に修正することができます。
ここからは産前産後によくみられる骨盤の歪み(変化)の4つの特徴についてお伝えしていきます。
➀骨盤の左右差
骨盤に関わらず、人体は構造的にも左右非対称であるため、少なからず左右差は存在し、必ずしも問題になるというわけではありません。
ただ、この左右差が増強することで姿勢はアンバランスになり、疲労等の他の要素が足されることで腰痛などのリスクが高まっていきます。
まず骨盤の左右差の影響を受ける『仙腸関節』について説明していきます。
骨盤を構成する骨と仙腸関節
骨盤は仙骨と一対の寛骨によって構成されており、さらに寛骨は腸骨・恥骨・座骨の3つの骨によって構成されています。
この寛骨と仙骨の間を仙腸関節といいます。
仙腸関節は、上半身の体重を支えたり、下半身からの衝撃吸収を行ったりと、人体が動く上でとても重要な関節です。
仙腸関節がしっかりしていないと身体は不安定になってしまうため、仙腸関節は沢山の靭帯によって固定されており、数ミリ程度しか可動しないとも言われています。
妊娠すると、胎児の成長に伴い子宮を大きくしていく必要があるため、子宮を囲む骨盤自体も広げる必要があります。そのため、リラキシンというホルモンを分泌させることで、仙腸関節を支える靭帯を緩めようとします。
(この効果は産後5ヶ月まで持続するとも言われており、産後すぐに復職したり、ワンオペ育児の方には特に注意が必要です。)
そうすることで大きくなる胎児と子宮には対応できるのですが、本来数ミリしか動かない仙腸関節が動きやすくなってしまい、ズレなどが生じるリスクが高まります。
人間とはそもそも左右非対称な構造をしており、左右非対称な動きもたくさん行うため、その影響で骨盤には左右差が生じていきます。
骨盤の左右差が生じるということは、仙腸関節にも左右差が生じるということになります。
骨盤(仙腸関節)に左右差が生じるとどうなる?
仙腸関節の動きにより、左右の骨盤は前後に倒れます。
前方に倒れることを前傾、後方に倒れることを後傾と表現します。
前傾には身体の前面の筋肉(筋膜)が関与し、後傾には身体の後面の筋肉(筋膜)が関与します。
右側の太ももの前(大腿四頭筋)ばかりを使っていると右側の骨盤が前傾し、左側の太ももの裏(ハムストリングス)ばかりを使っていると左側の骨盤が後傾するため、筋肉のアンバランスが骨盤の左右差につながることもあります。
一方の骨盤だけが過度に前傾したり後傾したりすることで、以下のトラブルにつながっていきます。
1.仙腸関節が不安定になる
骨盤が前傾・後傾どちらになっても、寛骨と仙骨の接触範囲が少なくなるため、仙腸関節は不安定な状態になります。
仙腸関節が不安定になることで、上半身の体重や抱っこによる負荷を支えることができず、腰や太ももなどに負担が強いられ、腰痛や太ももの筋肉が太くなるなどの原因になります。
歩く時にぐらぐらすると感じるのも、この仙腸関節が不安定になっていることが関係している可能性があります。
2.下肢の長さに差が出る
前傾側の骨盤は下がり、後傾側の骨盤は上がります。
見かけ上、前傾側の下肢が長くなり、後傾側の下肢が短くなります。
この下肢の長さの差を背骨や膝関節が調整しようとするため、腰や膝の痛みの原因になります。
3.脊柱が弯曲して自律神経が不安定になる
骨盤の中央に位置する仙骨は、骨盤が後傾している側へ倒れます。
仙骨が左右に倒れることで、仙骨の上方に連なる脊柱も倒れるため、背骨が弯曲したり捻じれたりするリスクが高まります。
脊柱に歪みが生じると、脊柱から走行している自律神経にも影響が及び、交感神経が優位になるおそれがあるため、自律神経のトラブルにつながっていきます。
左右差が強いと、脊柱や膝、自律神経にもその影響が及んでいくため、骨盤がなるべく正中位(ニュートラル)に近い状態にあることが望ましいです。
・・・②仙骨の歪みpart1に続く